麻生太郎氏の発言。
悪いが一国の首相の発言として扱うには質が低すぎて国威にかかわるので、あえて個人の名前で批判させていただく。
うん、まあ、一言で言うと、あれだね。
バカヤロー!!
・・・は!彼の爺さんが一瞬僕に乗り移っていたらしい。
とりあえずデータを見ればすぐ分かるはずですが、医者の数って減ってないんですよ。この時点で麻生さんの「医者を減らせ、減らせと言っていたのはどこのどいつだ」と言う発言は当てはまらないのです。かつて医師会側が何を言おうと、医者の数は減らなかったのですから。
ですから現在の地域医療において医者が少ない理由は、医師数の減少から来るものではないのす。たぶん彼はこれすら認識していないのではないか。
仮に彼がこれを認識しているとして、ではなぜ地域医療において医師が極端に不足するようになったのか。
そりゃ、研修医が好きな所にいける制度がつい最近できたからなのです。田舎の子たちは選べるとなればみな競って都会に一回は出たがります。都合の悪いことにこういう子たちはみんな実力があるので、一度都会で地位を固めてしまうと二度と地方に戻らない。
つまり、地方の医師不足は完全に厚生省の失策から来ているのですが、それでも医者は常識不足かね?
ついでに言うと、医者と言うカテゴリーをひとくくりにして批判するのは、国民が官僚をひとくくりにして批判するのに似ていますね。
カテゴリーと言う記号は一見便利だが、彼のような優秀な男でも盲目にさせる力を持っている。
それは愛国心と言う言葉を人が使うときに、あたかもそこに具体的に永遠なる「国」と言うものがそこに存在すると勘違いするのに似て。
国は概念であっても具象ではない。それが一つの定型だと思うのは幻想だ。
わが君は、別に千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔が結んでもかまわないが、国家がそうである様に願うのは危険思想だ。だからあの国家は批判されちゃうんだよね。あ、でも、「君が代」を君が理想高く常に上を目指してくれれば何の問題もないので、でもそうすると苔は生えないなあ・・・だから僕はあの歌詞は別に悪いことを言っているとちっとも思わないしむしろ世界で最も美しい国歌の一つだと思うが、大きな矛盾を内包しているね、と指摘はする。
話をもどして、国家が永遠であるとするならば。
もしそうだとするのなら時は止まるはずである。美しい自分の理想の国家を作り上げ、ファウストがその言葉を発音したとき、彼の命は終わりを告げた。時は一個人の意思では止まらないから。
むろん、そこにおける人の意志は美しい。だからゲーテはこの不条理に対抗するためにあの長い物語を書いて、最後に「時よ止まれ、お前は美しい」と発音させて彼を死なせたのだ。それはただの教訓と呼ぶにはあまりにも壮絶で。
それゆえにせめて彼の魂には最後に残った愛と言う名の救いがある、と言う結論。最後がキリスト教そのものの終わり方なのが日本人にはむずかしいかも知れないが。(信仰と希望と愛、それはいつまでも残る。その中で一番優れるものが愛である、と言う言葉に基づいて書かれている作品なのですよ、あえて補足すると)
国家が永遠であると言う幻想を人が抱くことへの警鐘をゲーテは内包しつつあの作品に昇華させたわけだ。
このことを見誤る国家は歴史において必ず暴走する。
思い出すでしょ?安倍さんの「美しい日本」。悪いがあなたの言う美しいが私の美しいとは限らないよ、と思った人は日本全国で一億を超えたはずである。
良いものを作るという理想は必要だ。しかしそれは決して形ある物のコピーであってはならず、今あるものをすべて生かして作り上げると言う信念が政治家にはなくてはならない。
これに対してカテゴリーをひとくくりとして批判するような政治家は、バランスを欠いている。なぜなら彼のいう「医者」と言うカテゴリーは、「官僚」と言うカテゴリーと同じくして、実態を描いたものだから。そこに人格を見出そうとしても彼が見つけ出すことができるのはぬけがらだけなのだ。
自分が普段「政治家」と言う得体のしれないカテゴリーに束縛されていることに疑問を持たないからこのようなことが起こる。これは多くの2世議員に当てはまることなのだろう。まあ、それを言ったら多くの2世の医者もそうなのだろうが。
言い始めたら「自民党が悪い!」「民主党は頼りにならん!」と言うカテゴリーにおける批判も実は幻想なのかもしれません。僕は前から幻想だと思っていますが。実態のない概念を批判して何かが解決するのなら、世の中に実像がある必要はないだろう。みんな記号であればいい。お互いを数字で呼び合えばよいだろう。実際はそんなことを僕らはしない。
「やあ、13303873号、おはよう!元気にしていたかい?」
…きっと僕は数字を間違える。そしてそれは危険なことだ。顔と名前が一致しないということは、信頼関係が永遠に構築されないことを意味する。それではシステムは成立しても社会は成立しないことは、誰でも容易に想像がつくだろう。
人をカテゴライスして批判するのって快感だよね?だから子供たちは小学校で同じことをやって、大人たちはそれを「いじめ」だと言う。悪いが本質は同じである。この思考の流れは非常に危険な方向に人を向ける傾向がある。
カテゴライスとそのカテゴリーの批判、虐待、殺戮。
アウシュビッツでユダヤ人が150万人殺したのと、広島で原爆で20万人を殺したのと同じ理論の流れ。むろん、すぐにここに結び付くわけではないが、かつて目立った終着駅はそこだった。今同じ流れが起きれば、この人数で済まないだろう。
それにしても、政党と言うカテゴリーも相当怪しいものですな。
だいたい日本の正党って本当にそれぞれ独立しているようには見えない。みんな中でてんでバラバラ好きなこと言っているし。まあ、それもブログが発達した今どきですが。イデオロギーで国が動かぬ時代ゆえ。
とりあえず麻生さんがしなくてはいけないのは睡眠ですね。
昔のお師匠さんたちの言葉を借りれば、
顔を洗って出直してこい
そういうことなのだと思います。
同情は、するよ。誰だってこんな人でなしの発言はしたくない。ここ2代の首相はあまりのストレスで自分が普段絶対に口にしないようなことを口にしたことを批判されて、自分が嫌になって辞めたのだから。
だから、自分の国の首相にこんなショーもない発言をさせる僕らも実は悪いのかも知れない。恥の文化を重んじる国に生まれ育った人間としては、こんな発言をする首相の国民であることが恥ずかしい。
僕はそうした発言がその人たちの実力通りの言葉だとは思わない。鍛錬が足りないとは思うけれど。それは彼らの体が言わせた言葉でも、彼らの頭が言わせた言葉ではないのだから。
だから、自分の言葉を否定などしなくても良い。否定したら否定したで支持率が下がるのは、過去の二人で分かっているし。国民が今求めているのは、虚勢を張り続けることができる人。だから、発言があっていようが間違っていようが、前に向かって進むしかない。
ただ、彼は医者関係の票をこの発言で多く失った、だろうね。
ホント、いろんな角度から、同情します。
悪いのはたぶん、あなただけではない。でも、そんなあなたも常識不足。
お互い至らぬものですね。私も自分を反省します。
「人は、医者である前に、政治家である前に、人間ですよね。人間なんだから、死にそうな人間がいて、君がそれを助けてあげられるのならば、助けてやれよ」
正直、彼の言葉をそう訳してあげるマスコミがすぐにいなかったことが、一番同情すべきことかもしれない。
でも、僕も1時間近くだらだらといろいろ書いてようやくこの言葉に行きついた。前から言うとおり、僕も相当アホである。自分がアホなのに人に賢くなれと言うのも何か間違っているような気がする。最低限、人間はアホであると言う認識は常に必要であると思う。
人間、そう簡単に賢くはならない。
善意で言葉を汲んであげることができるひとが、物書きの間にももっと欲しいものだと思います。
これほど乱れた人の言葉の真意に至るのは、5キロ先の離れ小島に向かって普段泳がない人間が泳ぐようなものだ。
まあ、つまり、今回の僕の場合、溺れかけて流されて、気がついたら漂着していました。
僕の文はいつもそんなのばかりだけどね。
僕の脳みそはいつも大洪水だ。
無事漂着したので、お休みー。