とりあえず素人目に分析すると事業展開して強気に販売台数拡大を目指していたところがもろに不況の波を食らう、ということでよろしいようです。
逆に基本的に調子が悪かったマツダとか、もちろん影響は受けていますがトヨタと比べると全然マシなようですね。
つまり、100年に一度であろうがなんであろうが、不況の波という奴は時々やってくる。
不思議なことだと思うのですが、経済の専門家と称している人たちに限ってそうした事実を見落とそうと努力するものですよね。あれはやっぱり、周りの空気に流されると言うことなのでしょうか。
しかし赤字に転落したことで、やっぱりトヨタの格付けは少なくともBまでは落ちるんでしょうね。もっともあれは銀行の貸付にかかわるものであって日本では・・・ありゃ?良く考えたら北米で工場を展開しているところに関しては向こうの銀行の貸し渋りは起こっても不思議じゃないな。
すべてが不気味なまでに連鎖するのは結局のところ、ものづくりを自分の国だけでやっていないのがもはや当たり前、それどころか人件費の高い日本でものを作るなど、大量生産のものに関しては専門性が高くない限り割に合わないと言うのが現在のところ常識となっていることから来ているのでしょうね。
僕としてはトヨタのプログレの純正ナビが泣けるほどに性能が低く、どうやら更新バージョンもだめっぽい、むしろもはや更新していないらしい(車体自体作っていないのですから当たり前ともいえるのですが)などの最近の様子を見ていると「上手の手から水が漏れているなあ」とここ数年感じていたので、実は今回の赤字転落もあまり驚かない。
少なくとも日本のものづくりの伝統から外れていたと思う。外国シフトと言えば聞こえは良いが、ソニーにしてもキャノンにしても、日本のユーザーの声が届き切っていたとは、少なくともこの5年に関しては思わない。
大量生産は市場をオーバーテークできるが市場自体が崩壊したときにその市場のドミネーターも瓦解するのは、地震が起きたときに地面の上の建物が崩れるのと同じだ。ゆえにトヨタやソニーが危機に陥ったのはほとんど自然の原理に沿っている。アメリカと言う地盤の上に自分たちの事業が乗っかっている以上、今の事態は必然だ。
アメリカの経済状態がバブルであることは4年ぐらい前から多くのアナリストが語っていたことであり、今のトヨタの社員はかつての日本のバブルの時代とその崩壊をを完全に忘れていたことがはっきりした。
喉許過ぎれば熱さは忘れる。
自分もそういう経験は多くあるので、多くは責められない。夢は見たいものだ。アメリカンドリームとはすなわち砂の上の城。決して野球選手が成功して大金を得るとか、そういうレベルの話ではないのだ。
アメリカ型の市場支配はすべての会社の夢だ。しかしそこにおけるリスクもすさまじいことは、今回多くの日本企業が見事に学んでしまったわけだ。しかもGMと違って日本政府はトヨタを助けないだろう。赤字が増え始めたら…と考えたときに恐ろしくなって派遣を大量に切ったのは、ある意味当然の反応だと思う。(念のため、派遣を切ること自体を正当化しているのではないですよ?ただ、「合法的な〈ここがまずいと攻撃しているマスコミがゼロなのが、今の日本の閉塞感をもろに表している〉」リスクヘッジとして、あのような巨象には当然そうした選択肢は存在すると言うこと)
意外だ、と思ったのは派遣法の成立自体は1985年なんですね。ただ、業者と対象業務が限定されていたため、バブル崩壊時に今のような被害が起きなかったわけだ。
ちなみに僕の中では「やたら業務の幅が増えたなあ」と思ったのが大学を卒業した年だったが(テンプスタッフのコマーシャルがうるさかった年ですね)、つまり1999年からずいぶん多岐にわたる業務に派遣がきくようになり、2003年、遂に製造業にも派遣が出来るようになる。
こういう流れを知ると「この法律を変えて行った人間はバカではなかろうか」という疑念は湧く。バカでないのなら悪人とはこういう人間のことを言うのだろう。
少なくとも自分が愚かだと思ったのは「派遣」という言葉で括らているその仕事内容が、いつの間にかほとんどすべての業者にとって活用可能なソースになっていたことだ。
事務はね。分かるのよ。
冷静に考えて、製造業で派遣って「違憲」だろう?
「同一労働、同一賃金、同一待遇」は労働者にとって「当然の権利」なのですが、日本は残念ながらお隣の国を笑えない人権侵害をしているにもかかわらずそのことに対して鈍感なんだよね。もちろん中国はさらに劣悪だが、日本人が派遣社員にしていることはこれはこれで充分人権侵害。
これ認めないとおそらくこの国は今から前に進めなくなる。
それこそ「社長になるか、奴隷になるか」、僕のかつての友達が血を吐くように語ったあの言葉が現実となった今。
ちなみにぼくは2003年時イタリアにいてこのことは全く知りませんでした。帰ってきたら「労働の形態がずいぶん変わったなあ」とは思っていたのですが、自分のことで忙しくて調べてなかったですハイ。製造業に関しては「あれえ?昔はあんな分野に派遣社員っていたっけ?」ぐらいにしか思っていませんでした。
ちなみにぼくはそんな風に思っていたくせに「製造業の派遣社員?切り捨てられるだけだから外国人にやらせているんでしょ?」とか言っていた。こういう知識が片手落ちであることは否定のしようもない。外国人だったら切り捨てても良いわけではないが、同じ仕事をやっている自分と同じ国民を同じ待遇で扱えないというのは、もはや人として何かが失われているとしか言いようがない。
それにしても2004年当時の?な会話が日本超近代史をネットで紐解くだけで納得できる今の時代は、ある意味良い時代なのかも知れない。毒のように突き刺さった言葉も、理由が分かればさもありなんと言えるものだ。
しかし残念ながら、許す前に物事は常に吟味されないといけない。
それでも、それはその刹那にはなかなか吟味できないものだ。だから、その場は流して後ですぐにきっちり調べる。
昔と違ってつい最近のことを誰もが手軽に調べられるようになった時代。少なくともこの派遣法の穴だらけな状態を糾弾する相手がだれかと言うと、遺憾ながらそれは今の与党なんだよねえ・・・だって2003年に法改正したのは今の与党なんだから。
ちょっと前ならうやむやに出来たと思うんだよ。でも、ネットが発達してかなり正確な知識を多くの人が手に入れることがようになった今。
日本が、今までのようなかじ取りを許されなくなってきているのも、必然なのかも知れない。
変。
変われるか、変わりたいのか、変わらねばならぬのか。
「今年の漢字」は間違いなく来年のキーワードとなる。
正直、その方向が良いかどうかは「信じる」しかないのであり、そういう意味でオバマの yes, we can! はうまいスローガンです。
今の派遣法を改正する力すらないのだとすれば、やっぱり国民としては解散総選挙、と言うことなんでしょう。目先が大事と言いますが、今年の冬をしのげても来年どうだかわからないさまで国民が付いてくると思っているのだとすれば、さすがにお先は暗いなあ、と思います。
何が言いたいって、トヨタが赤字になったことは、NHKのヘッドラインに持ってくるべきニュースでは無いなあ、と言うことだったんだけどね。だって、9月の時点で専門家はみんなそう思っていたと思う。何をいまさら、と言う感じ。
しばらく書いていないと書き始めたらいろいろ書きたくなります。
今日はこんなところで。お休みー。