これ、虚偽報告をしたとして逮捕された秘書本人が「ハイ、私は問題の献金が実質西松建設のOBが集めたものではなく西松建設本体から来たものだと知っておりました」と自白しない限り罪として成立しないじゃない。問題の争点が「秘書がその献金を企業からのものと知っていて受け取ったか否か」が争点であるのなら、被告本人の証言が無ければ立証することが出来ない。
たとえ知っていたとしてもこの状況で「知っていました」と言うことは100パーセント無いと思うのですが、いかが?検察側の立場から見ても明らかに「フライング」であり、裁判で勝てる可能性は万に一つも無いですね。
検察の立場から見れば、捕まった秘書が「実はあの献金、企業年金なんだよね」と言っていた所を見たと言う人の証言を取る必要があり、常識から考えてそれが民主党側から出る可能性は非常に低く、それ以外の人でそうした証言をつかむことが出来る可能性は太平洋の真ん中に落ちた100カラットのダイヤを見つけるより低い。
西松建設側の証言は非常に弱い。なぜならば彼らは秘書が「実際に企業年金と知っていて」受け取ったか否かは理論的にも証言できないから。
もしその事を承知の上で検察が彼の逮捕に踏み切り、且つ彼を有罪に出来ると思っているのならば、またもし彼が有罪になるのならば、日本中の政治家が危ない。献金する側の証言だけならいくらでも言質を取ることができるだろうから。すべては「推測」で罪とできる。なんだ、それじゃミャンマーと何も変わらないじゃない。あまりあの国のことを悪くいえないんだね。失礼しました。
日本がまだまともな国であるという前提に立てば、これは風評が立つことを狙ってやったと見るのが普通であり、ゆえに鳩山さんが「陰謀だ」と発言したのはある程度以上の根拠があるのだが、ネットではそう見ていない人が山ほどいるんですね。
これを見るだけでも裁判と言うものの仕組みをわかっていない人が日本には溢れていることがよく分かる。
この状況において裁判員制度が始まることは非常に危うい。そもそも裁判員は被告に「顔を見られる」ことになるんですよ?下手に刑を軽くして、後で逆恨みされて襲われる可能性って否定できないよね?裁判官はまだ法に守られている、と言うイメージがあるけれど、一般市民にはそういうお墨付きが無い。
その言葉に「コトダマ」を認めない被疑者はたくさんいると思うのです。
話を戻すと。
誤解を恐れずに言うならば、こういう逮捕劇って台湾や中国でよく見ません?
アジア的といえばそれまでですが、何もこのタイミングを狙って、しかも民主党の党首の秘書「だけ」狙い撃ちにしているところに「義」を感じないのは、なにも民主党支持者だけではないですよ?
一言で言うと「怪しい」のよ。ジンバブエとか二流の国家がしそうな、そんな感じ。(当然あの国にも良いところはあります。そう考え始めると「1流って何だ!」と言う疑問も湧いてきますね)
火の無いところに煙は立たない。だが、政治家にそうした見えない火を全く抱えていない人って、いないんじゃないのかな?
検察はいっそ国会議員全員の逮捕を狙っている?それは悪い冗談だ。
しかし、糾弾する他の党の議員も歯切れが悪いところを見ても「何を持って悪いとするかの基準のルール変更」が事前連絡無しに行なわれたのは見えており、「反小沢」と言う名前の妄執がその裏側にちらつく。
ま、良かれと思ってやっているんだろうけれどね。この手の「抑止力ある悪」に対する「善人の手」は「より大いなる漠然とした悪」がはびこる原因を作ることが多い。
ほら、2年ほど前の医療改革制度とかね。あれ、進めていた官僚たちは気に入らない大学の教授を迫害したら医療全体が崩壊するなんてひとりも思っていなかっただろう。机の上の計算が答えだと思っていた時点で、現在の状況は確定していたと言える。
神様と悪魔が本質的に何が違うかとこの瞬間に聞かれると「うーん?結局のところ結果としてそこにより大きな害悪を起こしてしまう、神様のしたするの方が時としては致命的な害かもね?」と答えてしまうだろう。まあなんだ。厚生労働省の役人の手は白かった。医者は本質的には真っ黒で、だから白い白衣をかぶっている。その白衣を取ってしまった役人たちは、彼らが真っ黒だと言うことを知らなかった。いや恐らくその彼らも自分たちがそんなに黒かったなんて、思いもよらなかったことだろう。
この状況において、どっちが「悪かった」のかな?うーん、本当に難しいね。
人間は基本的に楽な方に逃げる。お役人さんが知らなかったのはそういう基本的なことだった。一日8時間働いて月60万円と、一日15時間働いて100万円。あなたならどっち取る?と実際に提示されて口では後者と言う人がほとんどかもしれないが実際には99パーセントは前者でした、と言うのが2年前の改革を大雑把に説明したところでした。
おかげで医療は壊滅状態です、チャンチャンと。悪いが誰も医者を責められない。ここで医者を責める人間は誰もが偽善者だといっても過言は無い。ここで責めることが出来るのは現場に残って一日15時間働いている医者だけだ。
話を政治家に戻すと。
「小沢が悪」。分かりやすいよね。小学生でも分かる。そうやって正義の味方をしているうちに、政治全体のバランスが崩れるようなことが起こるんではなかろうか。
人間は昔からこの「黒い羊」裁判が好きだ。現代社会だってそうしたものに溢れている。
日本の作家で言えばこの黒い羊、村上春樹がまさにそれに当たる。
毎日新聞で村上春樹を説明する文章が相変わらず「喪失感」がテーマと書いてあった。30年前の書評の鵜呑み。あの世界ではそうした人たちの言葉はすごい力を持っているんだね。
世界中で彼の書評は「神を介さず、羊などのメタファーを介しての生者と死者の間のあいまいなコミュニケーションと、そこに於ける1小市民の人間としての回復」と大体決まっている。なんだその「喪失感」って。そんなあいまいな言葉が書評に許されると思ったら大間違いだ。そんな事いったら近代のほとんどの小説の主眼は「喪失と再生」だ。第一、日本の書評家の大好きな宮本輝からしてそうではないか。こんな括られ方をする村上春樹は本当に可愛そうですね。
ぼく個人としては、ここまで決めて話にかかる外国の書評家も実はいらない存在だとは思う。本は自分で読んで自分で考えて自分で宝物にするものだ。その人にとってのその一冊がその人にとってかけがえの無いものになるかどうかなど、その人がその本を読まなければ決して分からないことなのだ。だから書評家と名乗り、それ以外の仕事の無い人間はクズだ、という村上春樹の言葉は文を書いて、それを読んでもらうことに粉骨砕身している身としては当然の「アピール」だと思う。残念ながらその言葉が毒となり、いまだに彼は日本での文学者としての立場が文学者仲間の間に無い、と言うか恐らく死ぬまで無いのだろうが。
いずれにせよ日本だけだよ、「村上春樹を分かったと言う奴は他人と自分が違うと言おうとしている奴だ」と真顔での給う愚かな(失礼)書評家に溢れているのは。
しかもそうしたスケープゴート的な行動を多くの日本人が受け入れて、問題の本質を話そうとせず、結果が出たあとに「私の思っていた通りだ」との給う人もなんと多いことか。そりゃ結果が出ればそれはなんとなく自分の直観のうちのどれかには当てはまっていただろうから、誰でもそんなことは言えるよね。
そういう意味では村上春樹のエルサレムのスピーチの後のそうした人たちの沈黙は面白いったらありゃしない。あの人たち今まで彼の小説をちゃんと読んでいないから、彼のどこからああした言葉が出てくるのか全く分からないんだよ。彼がスピーチで言っていたことは全部今まで彼が小説で言っていたことなのに。
小説は「嘘」で「真実」を語る手法。彼がどうして普段真実を語ることによって真実をあらわそうとしないかというと、その時点での「真実」は時代とともに風化していくから。でも、ああいうときにはそのときの「真実」を語らなくてはいけないと言うことも彼は知っている。まさに、時代の人ではないかと思う。
時代の問題は何かというと、誰もが競って「壁の側」になろうとして、「卵」として潰されないように、そればかりを気にかけていることだろう。それは分かりきっている。
政治家に国民が本当にやって欲しいのは、潰される卵の方にいつもいてくれることだ。
小沢さんが卵の側にいたかどうかは、後の歴史の判断に任すとしても。
検察がやっていることは結果的に政治家を萎縮させて「壁」の方に呼び込むことになる。それが危ういと思わなければ、同じ時代に生きていないのよ。
みんな良かれと思ってやっている。それですべて正当化されるわけではないことは知っているだろうに。
この時代、誰もが少なからず持つ「カテゴリー化」(あの人は「~だ」と言う表現ですね。それが「真言」であるかなど誰にも分からない)の思想。それを危ういとも自覚せず。
すべてはただの「言葉」だ。言葉に塗りつぶされて、実際に自分の手で触れて自分で確かめて自分で判断していない。小沢さんも麻生さんも「ここに書かれている小沢や麻生って一体誰なんだろうね?」と後年お茶でもしながら話すこともあるだろう。それぐらい、もはや本人が見えない。
誰が一番愚かかといえば,彼らの「あること無いこと分け隔てない」イメージを叩きつけるマスコミの言葉に流されて「あいつは~だ!」と家庭の茶の間で議論している僕らだろう。そこに彼らの真実はない。
言葉で皆さんを塗りつぶしているぼくが言うのだから、少しは信憑性ってものがあるとは、思いませんか?
政治をゲームと勘違いしている人間が、なんと政治家に多いことか。
むしろ嘆かないといけないのは、この一点に尽きますね。
明日が早いので全くまとまっていないのですがこれだけ書いて消すのもあれなのでこのままアップします。
お休みー。