反対でも自分の党の内閣が出した決議なら賛成に回れ、という発言。
これは3権分立の原則に完全に踏み込んできている。つまり、立法に行政は従えと言っているのと同じですね。
もっとも、行政には立法に従う義務はないので、この発言自体は単に「いつも民主主義、民主主義と連呼している割には民主主義の歴史を知らないんだねえ」ということで終わっちゃうんだけどね。
もう一回教科書の世界史は近代史の最初の項目であるところの「民主主義」の項目をひも解けば、日本中の皆さんが彼の言っていることはおかしいということが分かります。
もうね、説明するのもアホらしいんですよ。高校生の方が民主主義とはなにかということの核心についてはよく知っていると思います。
近代憲法における民衆の権利は、フランス革命における「人権宣言」において語りつくされている。
彼はそれを「フランス的」というのかもしれない。だが、残念ながら彼がいうところの「民主主義」の精神は、「人権宣言」から始まっている。
民主主義は間違っても「多数決で物を決める場」ではない。
地位がないこと、国民を代表していないことを責めることはできるだろう。だが、一人の人間が己の考えを述べるのは「言論の自由」であり、それを奪おうとしている人間がまともであると僕は信じない。
根本からずれている彼は、今さら軌道修正できるのだろうか?
正直、何を焦っているのかがよく分からない。ただ、今の方向性では民衆の支持は得られないだろう。
人はよく分かっていない言葉こそ振り回し、最後はその言葉に振り回されるものだ。
というわけで高校世界史の近代、現代編をもってらっしゃる方はぜひ最初の30ページだけで良いですからよく読んでみてください。
とりあえず、その程度のことで「民主主義とはなにか」など、分かるんですよ。
それは、馬鹿らしいほど単純で、しかし人の心を一瞬で溶かすほど熱い言葉。
今のフランスという国が「人権宣言」の元になりたっているという事実に、熱いものを感じる人は多いのではないでしょうか。
個人的にはあまり彼に「民主主義」という言葉を使ってほしくないですね。
「民衆を代表していない人に発言する権利を認めない」のは民主主義とは言えんのよ。その発言を「国民を代表している人」が聞いて、自分の意見として発言する可能性もあるのだから。そのために野党はいるのです。
何のための3権分立か。
彼はその意味をこれから知ることになるのか。
正直、もう遅いと感じます。