つまりナポレオン率いるフランス軍をロシアが完膚無きまでに叩きつぶしたことを記念してチャイコフスキーが作らされた曲ですが。ちなみに作った本人はこの曲にあまり愛着を持っていなかったそうな。曲としては悪くないので意外な感じはする。まあ、彼の作品の中で飛び抜けてバカっぽいが。イベントのための曲、と言うほかにない依頼の方向性がそうさせているのか。(1880年のサンクト・ペテルブルグにおける産業芸術博覧会が初演とある。このときにはチャイコフスキーが振らなかったせいか、不評だったらしい。解釈無しに弾くとタダのマーチになっちゃう曲なので、分からなくもない)
それにしてもなあ…半分フランス人が支配しているみたいなものであるカナダのオリンピックで「フランスがロシアにこてんぱんにやられた象徴」の曲を流すセンスって、どうよ?
もちろんカナダ人の多くはあの曲がなんであるかを知っており、一連のバレエが終わった後にやっぱり拍手がなかった。
ロシア人のこの手のブラックジョークは僕もやられたことがあるが、正直あまり笑えない。
でもまあ閉会式のその後のだらだら感を見せつけられて「カナダは素晴らしい国ですよ」というPRを見た後には「まああれぐらいのいたずらは充分ありだな」と思ってしまった。
開会式が良かった分だけちょっとビックリ。まあ、カナダなんて基本的に自然以外特にPRするものが無いのは事実であり(とは言ってもその自然が本当に素晴らしいのですが)、やっぱり「自分の国の文化」となるとよく分からない軽いもの(だってしゃべり出す有名人の出だしがスタートレックの船長ですよ?日本で言えばウルトラマンの主役の人がしゃべり出すようなものじゃない?別にウルトラマンが悪いとは言わんが「文化」と言われると「うーん、B級感を楽しむドラマが文化って…」と思わざるを得ない。)になっちゃうのは、アメリカよりもどうしようもない(アメリカはそうはいってもジャズとソウルがあるからねえ・・・カントリーという偽りの世界もエンターテインメントとしては上質だし。)ね、本当に。
いずれにせよ、ロシアの人達が閉会式でやったことを見て「次回のオリンピックの開会式、大丈夫かいな」と思いました。適当すぎるよ。国民性が出ている。
ま、自国でやる限りはどうにかなっちゃうんだろうけどね。
あと一つ。
広島で夏季オリンピックをやるって話、やっぱり、無いなあ…
スタンドが用意できないのがまず痛恨。ビッグアーチの二倍の客席って。なんですかそれ。
あと、あれほどのお祭り騒ぎのための費用が全く出ないでしょう。宿泊施設も全く足りないし。
地方都市に裁量を持たせなかった日本の国作りにおいて、東京以外の街でオリンピックを開くと言うことはつまり「赤字を背負う」と言うことと等価だ。
大阪でさえ大赤字になって大変な目に遭うところだっただろうから、あれは落ちてラッキーだったのだろうよ。
オリンピックをビジネスとして成功させることが出来るシステムを持っている国は、アメリカだけだろうね。
バンクーバーと言う静かな街にも、見えるところ見えないところで負担が残る事になるのか。
多くのことがボランティアによってまかなわれたことは分かっている。その人達の多くはオリンピックが終わったら元の失業者に戻るのか。
国が雇用を創出できればいいのだけれど、それも難しいのだろうね。
素晴らしい夢をたくさん見せてくれたこの祭典を否定するつもりは毛頭無い。
だが、広島で夏季オリンピックをやるというのは、どう考えても、非現実ここに極まるとしか言いようが無い。
それが分かって、半分納得、半分残念って感じです。