もちろん今までも使っていたのですが、今大会のように重要なポイントで印象的なスライスが出てくる錦織選手は初めてですね・・・彼の中で確実にかわっていっている部分があって、それはどう見てもスライスであり、サーフェスの感じ方だと思う。
以前よりも捉える時の感覚が鋭くなっていると思うんですよね。昨日はラケットを11本も用意したらしいですが、つまり雨用と天気用の二種類だと思うのですが、それでもそれぞれ5本は持っているわけですから、(つまり最初の一本は間でどっちにするかを判断するためのラケットだったと思われる)相当感覚が鋭くなっているのは疑いようのない事実だと思うのです。
スライスを鋭くするには技術的な事は知りませんが物理的にはインパクトの瞬間にロスなく球に回転を与える事が非常に重要となるため(ロスがなくなればより物理法則に近い動きを球に与えられる)、「どの瞬間がインパクトなのか」を体が信号としてより正確に捉えていればより鋭いスライスになるわけですが、これは体の内部の問題でもあるのでコーチが教えるにも限界があるでしょう。
ピアニストにおけるタッチとも問題は似てくると思います。やり方は教えられますが、本人がそれを感じなければ出来ませんからね。
で、今の錦織選手はタッチの感覚が鋭くなっているから、あれほど自由自在に強烈なショットがドライブでもスライスでも打てているのではないでしょうか。ドライブはより力強く角度がついており、スライスはより深く切れ味鋭いように見えます。
本人のとりあえずの目標はベスト8だったようですが、これはもうちょっと行けるような気がする。彼自身は今まで通り言われた事を遣っているのだろうけれど、多分自分の中でも「あれ?以前より良くなっている?」という瞬間はたくさんあると思うんですよね。何より、体を痛めたそぶりを欠片も見せないその姿が、確実に変わって行っている彼の姿をこちらに印象づけていると思うのです。
以前は「行けー!」って感じで見てましたので、胃が痛くてそう何度も見ることは難しかったのですが、そろそろ誰が見ても面白いテニスに変わってきてますね。彼とジョコビッチ、フェデラー、マレーの時代、已にやってきているのかも知れません。
これが10年くらい続くと嬉しいなあ・・・10年は難しいか。でもせめて5年。行けると思うんだよね。あれだけ楽にラケットを振れていれば。
まだ大会は終わってませんが、不得意なクレーでこれですから(もはや不得意と言えないレベルに行っているとは思うのだが、本人がそう言うので・・・)、今後が非常に楽しみですね。