最近翻訳文学の世界ではやっている「複眼的」と言う言葉について
亀山郁夫先生の「二枚舌」のほうが一般向けな表現だと思います。
どうもね。あまりにも頻繁に使われているので。ファンタジーが複眼的なのは当たり前なのだが、複眼的、といっても文学を大学で勉強していない人がそんなことを言われてなに言っているのかわかる可能性はすごく低い。
事実、訳を作る上で作者の「複眼的視点」を強調する人は訳しきれていないことが多い。それをごまかすために難しい文学技術の名称を振りかざすのは本当にあれかと思うのだ。
何でこんなことを書くにいたったかというと、最近読んだ翻訳文学で立て続けに「作者の複眼的視点」と言う表現が書いてあり「アーこりゃどっかの教授の受け売りだな」というのが見て取れたので。で、こういう受け売りをする人は翻訳も必然的に堀口大學とか超有名な訳を語尾だけ代えるという暴挙に走って挙句訳者に自分の名前を冠することが多い。
これもまた系統樹とコピーの違い。
似て非なるものだが、オリジナルを知らない人でも勘が鋭いと「怪しい」と感じるものですよ?
これだけ書いて、亀山郁夫はやっぱりすごいと思う。すごいと思うからカラマーゾフの二巻をさっさと出してください。(←なぜ偉そう?)