日本にいると分かりづらいことだが、最近「有名人と社長の給料が上がりすぎている」と言う意識がアメリカの労働者には蔓延している。
ぼくが以前「黒田の年俸は不当と評価されるだろう」と書いたのは、別に周りと比べて見劣りすると言う意味ではなく「何であれだけ活躍している斉藤が2億で一回も投げていない黒田が10億?」と言う意見がアメリカ人の大半を占めている事を言ったに過ぎない。つまり、一年プレーするだけで10億以上もらっている人たちは彼らからするとみんな「不当」なのです。
社長の給料の上がり方も最近異常で、一年で50億とか取る奴もいます。そりゃまあ、不当と思うわな。
つまり、オバマという選択肢はそうした社会に対する「ハンマー」なのですよ。何?いわゆる鉄槌、と言うやつか。彼がそれを出来るかどうかは別にしても、あの3人の中でそれをする可能性があるのはオバマだけ、と言われればまあ、アメリカ人の8割は頷くだろう。
彼に「政策がはっきりしていない」と言う意見があり、実はその意見はすごく正しいのですが、それよりも何よりも完全に硬直して他の受け入れを拒否している今のアメリカは私の思っているアメリカではないと思っている人がどれほど多くいるか、と言うことなのです。
ぼくが高校生の頃はまだ不法滞在者にも望みがあった。それなりのチャンスはあったし、それを得てきた人もたくさん居た。今は事実上不可能。わずか15年でこのような状態になった。
どうだろう。普通の国家としてはきわめて正常なのだが、結局のところ「移民の国」から完全に脱しきっていないアメリカがオバマ・ワールドの感化されても僕はなんら驚かない。
つまり、オバマを支持する人はかつてのアメリカの臭いを支持しているのであって、政策は二の次なのです。
人々は作られた「アメリカン・ドリーム」をもはや受け入れない。それはディズニーの映画を本質的に人々が受け入れていないのにも似ている。だから「具体的な政治案」に誰も頷かない。
政策に矛盾が無いことなどあるものか。そんなのは日本に限った話ではない。
ゆえにこの「あえて政策が二の次である」点がオバマが怖いとされる理由なのです。対立候補としては本当に困る。だって、政策の矛盾を突こうにも、そもそも具体的な政策が無いのだから。
少なくとも、日本としては基本的に対中関係重視のオバマを支持するメリットってあまり無いかもしれない。しかしなんといっても外交に関する発言の歴史は浅いので、判断する材料がほとんど無いと言って良い。
日本から見ると、何をするかほとんど全部分かるマケイン、もしくは人の意見に左右されやすいヒラリー・クリントンが良いと思うのですが、どうなるんでしょうね?
大統領選挙は蓋を開けてみないと分からない。1992年を生で見ている人間としては、断言など誰にも出来ないとやはり言いたいですね。
まあ、ビル・クリントンでもやれたのだ。本当は、誰でもやれるのだろう。
正直、そう思う。