「鳴り物が無い」
あ、僕と同じこと思ったんだ、と思った。
ぼくはシアトルではじめてマリナーズの試合を見た。まだセーフコ・フィールドではなくキングズ・ドームの時代。チャイナタウンの外れにあるそれはお世辞にも高校生には安全と思えない地域であり、友達とでなければ行くことは無かったと思う。
ぼくはそこで、神様を見た。
いや、正確にはケン・グリフィー・ジュニア。彼はあの当時シアトルにおいてすでに神だった。
アメリカのお客さんは基本的に静かだ。みんな野球を「見ている」。人と話している人もほとんどいないし、なんといっても「鳴り物」が無い。
しかし、驚いたのはケン・グリフィーが打席に立ったときだ。
まだ何もしていないんですよ?
お客さんが突然立ち上がって拍手するんですよ。
このときぼくは思い知らされたんですよね。野球とベースボールはルールは同じかもしれないが、全く別のスポーツである事を。
で、黒田さんがマウンドに立って、多分似たような事を感じたんだと思う。
日本で野球を見たことがある人は、絶対に一回はメジャーは見たほうが良いと思うんですよ。何で野球嫌いな人がメジャー好きになることがあるかが分かるから。
あれならね、高い金払ってもたまになら見に行っても良いか、と思うんです。つまり、人間の可能性の観察、という意味において。
とりあえず出だしは良かったようですね。この調子で頑張ってください。